吉野作造

斎藤昌三と吉野作造

20170123 1920年代から1940年頃まで日本の出版文化の一翼を担った斎藤昌三(1897-1961)は、吉野作造・尾佐竹猛・木村毅・宮武外骨らが組織した明治文化研究会のメンバーでもあり、また、茅ヶ崎文化人クラブでは、東大法学部で吉野作造の同僚であった牧野英…

平塚らいてうの消費組合運動: 小嶋翔論文を読んで

20160920 平塚らいてうの消費組合運動: 小嶋翔論文を読んで 小嶋翔「戦前期消費組合運動における理念と実際運営: 平塚らいてう「消費組合我等の家」に注目して」『日本経済思想史研究』16号(2016年3月)を読む。小嶋さんは、宮城県大崎市古川にある吉野作造記…

呑喜ー吉野作造ー家庭購買組合ー生活協同組合

【昨年末に閉店した「呑喜」および家庭購買組合吉野作造のこと】写真の右ページは『ホームユニオン』1935年3月号に載った呑喜の広告です。注目すべきことに、一高前電車通りでなく早稲田大学正門通りにも店があったことです。また、おでんだけでなく寿司や…

後藤斉「西洋人日本語研究に関する吉野作造の論考」

20160311 【キリシタン期以来の西洋人の日本語研究に関心を寄せた吉野作造】東北大学の後藤斉先生から「西洋人日本語研究に関する吉野作造の論考」(『東北大学言語学論集』第24号、2016)をお贈りいただき、さっそく拝読。まさに、これまで光をあてられなかっ…

クリスチャン(?)上杉慎吉

20150528 クリスチャン(?)上杉慎吉 世田谷区上北沢の賀川豊彦記念松沢資料館で、昨年吉野作造記念館で開催された「吉野作造と賀川豊彦」の移動展「賀川豊彦と吉野作造」が6月27日まで開かれている。キリスト者としての二人は《貧しき者、弱き者のために》様…

高野長英−孫文−吉野作造

20150224 高野長英について金子務『江戸人物科学史』(中公新書)は次のように書いている。高野長英の脱獄・潜行の関連で《この長英の潜行にあやかって、二度の挙兵に失敗して日本に亡命した孫文も、表札に「高野寓」、仮名に「高野長雄」を使っていた。》と…

吉野作造記念館20周年記念講演 三谷太一郎「晩年の吉野作造」を読む

20150207 吉野作造記念館20周年記念講演レジュメである三谷太一郎「晩年の吉野作造」を読む。明治文化研究会や大学教育活動、そして男子普通選挙後の無産政党支援を取り上げている。無産政党支援について次のように評価するのは鋭い。《晩年の吉野の政治活動…

『鮮血遺書』『日本切支丹宗門史』: 内田魯庵と吉野作造

20140614 『鮮血遺書』『日本切支丹宗門史』: 内田魯庵と吉野作造松崎實著『校註 切支丹鮮血遺書(きりしたんちしほのかきおき)』(改造社)を古書店で入手。1926(大正15)年4月10日10版。初版が同年2月13日発行であるから、えらい売れ行きだったことが分…

笠松幸一「日本の民主思想が実現したJ.デューイの東京帝国大学講演」: 渋沢栄一、新渡戸稲造、吉野作造

20140524 笠松幸一「日本の民主思想が実現したJ.デューイの東京帝国大学講演」(『研究紀要』第75号、日大経済学部)読了。この論文は、新渡戸稲造、渋沢栄一、吉野作造に注目し、1919年のデューイ東大講演と彼らとの思想的・実際的関わりを明らかにしようと…

丸山眞男の吉野作造評価: 「科学としての政治学」の注記より

20140501 丸山眞男の吉野作造評価: 「科学としての政治学」の注記より 丸山眞男『政治の世界 他十篇』(岩波文庫、2014.2)に収録された、最初の論文「科学としての政治学:その回顧と展望」を読む。これは敗戦から2年を経ない1947年6月の『人文』に発表された…

高橋進さん

20140227 高橋進さん(国際政治史が専門)が逝ってこの3月2日で4年となる。この24日、東京・神楽坂で、同世代の親しくしていた人の集まりがあった。9人ほどの小ぢんまりとした会。進さんは、元気であれば65歳。この4年間、さまざまなことがあった、あり過ぎ…

鈴木武雄論文:藤原松三郎と岡義武

20140226 鈴木武雄論文:藤原松三郎と岡義武 静岡県菊川市にお住まいの鈴木武雄氏からの三論文を寄贈さる。その精力的な研鑽には頭が下がる。その中の 「東北帝國大学と和算史研究Ⅴ〈藤原松三郎の戦中と戦後〉」(2013年10月12‐13日、津田塾大学・第24回「数…

サンクトペテルブルクの福沢諭吉:吉野作造『露国帰還の漂民幸太夫』の口絵

20140220 福沢諭吉と吉野作造:吉野作造著『主張と閑談第二集 露国帰還の漂流民 幸太夫』を通して ヤフオクで落札した、吉野作造著『主張と閑談第二集 露国帰還の漂流民 幸太夫』(福永書店、大正13年9月20日発行、定価1円50銭)が届いた。四六判変型並製。9…

周恩来『19歳の東京日記』、保田龍門、吉野作造

20140219 周恩来『19歳の東京日記』、保田龍門、吉野作造 2月14日、東海道新幹線の車内と大阪中之島のホテルで、周恩来『19歳の東京日記』(小学館文庫、1999)読了。1917年9月に来日し、19年4月に帰国。東京神田神保町近くの予備校に通い、東京師範学校、第…

桜美林・清水安三/吉野作造/中江丑吉:山崎朋子『朝陽門外の虹:崇貞女学校の人びと』を読んで

20130923 桜美林・清水安三/吉野作造/中江丑吉:山崎朋子『朝陽門外の虹:崇貞女学校の人びと』を読んで 山崎朋子『朝陽門外の虹:崇貞女学校の人びと』(岩波書店、2011)読了。本書は、教育者・牧師である清水安三(1891−1988)とその二人の妻が、貧困に…

渋沢史料館、ヘボン講座、吉野作造

20130803 渋沢史料館、ヘボン講座、吉野作造 昨日は、東京都北区の飛鳥山にある渋沢史料館を訪ねた。目的の一つは、渋沢栄一がニューヨークの銀行家A. Barton Hepburnの寄付の意志を取り次いで東京大学に1918年に創設された通称「ヘボン講座」(その後「アメ…

吉野作造とユニバーシティ・エクステンション

20151002 吉野作造とユニバーシティ・エクステンション:吉野作造や一戸直蔵らが「大学普及会」を組織して、ユニバーシティ・エクステンションを冠した双方向性の通信雑誌『国民講壇』を創刊したのが百年前の1915年6月。先駆的過ぎて6号で終刊。私は2号から5…

渋沢史料館、ヘボン講座、吉野作造

20130802 渋沢史料館、ヘボン講座、吉野作造 昨日は、東京都北区の飛鳥山にある渋沢史料館を訪ねた。目的の一つは、渋沢栄一がニューヨークの銀行家A. Barton Hepburnの寄付の意志を取り次いで東京大学に1918年に創設された通称「ヘボン講座」(その後「アメ…

吉野作造、『明治文化全集第6巻 外交篇』、福地源一郎、何礼之、何盛三、条約改正、エスペラント

20121231 吉野作造、『明治文化全集第6巻 外交篇』、福地源一郎、何礼之、何盛三、条約改正、エスペラント 吉野作造は1920年代後半に『明治文化全集』を計画し、珍しい資料を探し求めたが、そのうち《最も私を驚喜せしめたものは「新定条約並附録草案」の発…

吉野作造と高田畊安

20120729 吉野作造と高田畊安『吉野作造選集』に収録された日記に出てくるのは「高田耕安」。最初、茅ケ崎の南湖院の院長・高田畊安であることが特定できなかった。その後、1911年8月に高田畊安が国際結核病学会出席のためにローマに向ったが、ローマでのコ…

吉野作造の「日本基督教発達史」

20140514 吉野作造の日記には、何度か日本基督教発達史を書いている、という記述が出てくる。それも、ヨーロッパ留学中の1910年、11年にである。たとえば、1911年ドイツのヴュルツブルクに滞在していた(明治44年)5月8日(月曜)には、《兼々心懸けて居つた…

吉野作造と鈴木文治に関連して

20120120 吉野作造記念館を訪ねた。昨年の震災の前の企画展に関連した、友愛記念会のHPを引用する。 ☆「鈴木文治の故郷巡りと吉野作造記念館見学」ツアーを実施、3月5日☆ 友愛労働歴史館は3月5日(土)、「鈴木文治の故郷巡りと吉野作造記念館見学」ツアーを…

吉野作造と一戸直蔵

20120106 田中館愛橘科学記念館のホームページ(http://www.civic.ninohe.iwate.jp/aikitu.html)にある日本の科学者のついての情報が有用である。吉野作造と大学普及運動の活動をともにした一戸直蔵についての基本情報が以下のようにあった。 《一戸直蔵い…

吉野作造と清水安三

20120106 「清水安三の北京時代」というブログ(2008年)に次の記事がある。桜美林大学の創設者の清水安三の著作『支那当代人物』と『支那新人と黎明運動』に吉野作造は序文を寄せている。ブログの筆者は桜美林大学理事長/学園長の清水畏三。 《“大正デモク…

「吉野作造思想から戦後協同組合へ」

20110815 「吉野作造思想から戦後協同組合へ」 同成社のベテラン出版人で宮城県古川高校の先輩の吉田幸一さんから、『社会運動』に昨年から今年にかけて12回連載された「吉野作造思想から戦後協同組合へ」のコピーをいただいた。執筆者は「NPO野菜と文化のフ…

吉野作造と水野成夫: 辻井喬『風の生涯』

20110514 吉野作造と水野成夫: 辻井喬『風の生涯』 辻井喬『風の生涯』(上下、2000年10月25日、新潮社)を面白く読んだ。これは、革命家・文学者・企業家であった水野茂夫(1899−1972)をモデルとした小説であり、読者としては辻井喬=堤清二を二重写しのよ…

吉野作造の出版社:万朶書房 

吉野作造の出版社:万朶書房 20110503 これから東北新幹線で宮城県古川に行く。明日は、古川の吉野作造記念館を訪ねる予定。以下、吉野作造と出版との一断面を記したもの。 小尾俊人『出版と社会』は関東大震災後から日中戦争ころまでの出版を活写した好著で…

吉野作造と柏木義円と斎藤勇:水原虐殺事件

20110415 斎藤勇が「或る殺戮事件」を書く契機となった堤岩里事件について、吉野作造も「朝鮮統治の改革に関する最少限度の要求」と題する講演において言及している。これは、1919年6月25日に開かれた第6回黎明講演会で行われたものであり、『黎明講演集』第…

吉野作造の死

20110414 昨4月13日、東京学士会館で第84回南原繁研究会が開かれた。読書会形式を積み重ねる方式で、今回は鈴木英雄会員による『歌集形相』の前半を対象とした報告がなされた。その中で、吉野作造を詠んだ歌が紹介された。 昭和14年1939年、外は日中戦争が戦…

吉野作造と小野塚喜平次:総長演述

20110412 吉野作造と小野塚喜平次:総長演述 日本における政治学研究の第一世代の一人として小野塚喜平次がいる。明治3年12月21日(1871年2月10日)新潟県は長岡の生まれ。昭和19年1944年11月26日逝去。昭和3年3月東京帝国大学総長古在由直病気により総長代理…