2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

関川夏央・谷口ジローの劇画『『坊っちゃん』の時代』全5巻(双葉社1987-97)

関川夏央・谷口ジローの劇画『『坊っちゃん』の時代』全5巻(双葉社1987-97)を読み終えた。最初に大逆事件を扱った『第四部 明治流星雨』を読み、これは並々ならぬ力作であると感じ入り、ほかの巻をも読まずばなるまいと思い、入手して読んだのである。 全巻…

富岡多惠子『湖の南』

富岡多惠子『湖の南』(新潮社)読了。湖とは琵琶湖である。その南、大津が主な舞台。大津に住むようになった著者の随筆的な話しに、明治24年の大津事件の経緯と背景を探る話しで構成されている。特にロシアの皇太子ニコライを襲った大津事件については、津田…

山内進『北の十字軍』

山内進『北の十字軍』(講談社選書メチエ 1997; 講談社学術文庫 2011)再読。 ヨーロッパ北方の異教徒をキリスト教化(カトリック化)すべく、ローマ教皇の名の下にバルト地域(西スラヴ・ヴェンデ、プロイセン、リトアニア、リヴォニア、エストニア)そして正…

伊藤整の「石狩」と石狩川捷水路

伊藤整「石狩」を読了。初出は単行本の『石狩」(版画莊文庫、1937年)。伊藤整は小樽市郊外の塩谷で育った。小樽までは歩きで1時間半ほどかかる。塩谷海水浴場があり、この小説にも登場する。10代後半の主人公の知り合いの女性二人をめぐる心の葛藤を主とし…

丸山眞男と戦後初期出版界(レジュメ)

丸山眞男と戦後初期出版界 竹中英俊 2014.8.22 大学出版部協会夏季研修会 はじめに*富山県と南原繁/南原繁と東京大学出版会/南原繁と丸山眞男*丸山眞男は1914年3月22日、大阪天王寺村に生まれ、今年が生誕百年*記念行事 ・3月22日、丸山眞男手帖の会主…

船山馨『蘆火野』

船山馨『蘆火野(あしびの)』読了。400字1300枚の長編歴史ロマン。1972年4月から翌年6月まで朝日新聞に連載され、73年7月に朝日新聞社から刊行された。幕末の箱館と江戸とパリを舞台。主人公は、みなし子のおゆきと、直参小普請組でいち早く武士身分を脱…