2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

久保栄『火山灰地』を読む

久保栄『火山灰地』(1937-38)読了。久保は1900年、野幌煉瓦工場社長、札幌商工会議所会頭を務めた久保兵太郎の次男として札幌に生まれた。東大でドイツ文学を学び、卒業後、築地小劇場で小山内薫や土方与志から演劇の指導を受けた。その後、新築地劇団、新…

伊藤整の長編自伝小説『若い詩人の肖像』(初版、新潮社、1956) 読了

札幌のホテルで伊藤整の長編自伝小説『若い詩人の肖像』(初版、新潮社、1956) 読了。この作品は、「海の見える町」(『新潮』1954年3月)、「若い詩人の肖像」(『中央公論』1955年9-12月)、「雪の来るとき」(『中央公論』1954年5月)、「父の死まで」(『…

安東と清州の会議(2017年8月)に参加して

【旧稿掲載】 安東と清州の会議に参加して竹中英俊 20171008 この8月、東洋Forum 主幹の金泰昌先生の招きにより、二つの国際会議に参加した。一つは、10日から12日まで、安東の陶山書院sunbi文化修練院で開催された「2017年 嶺南退渓学研究院・陶山書院sunb…

坂手洋二と満田康弘のカウラ事件

坂手洋二の戯曲『カウラの班長会議 side-A』(松本工房、2021.8.20) を読んだ。2014年にオーストラリアのカウラで上演されたこの劇は満田康弘監督のドキュメンタリー映画『カウラは忘れない』にも登場する。これらで扱われるカウラ事件とは、1944年8月5日、…

由井りょう子『黄色い虫 船山馨と妻・春子の生涯』を札幌で読む

船山馨が生まれ青少年期を過ごした札幌の地で、由井りょう子『黄色い虫』(小学館、2010)読了。サブタイトルが「船山馨と妻・春子の生涯」とあるが、内容的には「船山馨の妻・春子の生涯」と言うべきだろう。作家船山馨の作品には思い入れせず、春子の遺した…