「無名」ということ:本のあとがきの謝辞について

20150131

本のあとがきには、著者による謝辞がある場合があり、そして多くの場合、末尾近くに出版社と担当編集者への謝辞がある(ない場合もある)。書物という製造物の品質を保証するためにも、いい慣行である。
私もかつては、その書物製造物の品質に最大限の確信を持っていたこともあり、著者が私の名前を書いてくれることを喜んでいた。しかし、生きる道を失いそうになった40代を仏教思想に頼って生き延びた50前後から「無名」がいいと思うようになり、著者とトラブルを起こさない範囲で、私の名前を著者の謝辞から外してもらうようにお願いした。これは、中江丑吉石原吉郎の影響でもあるとも思っている。