山本健吉の中野重治評
20170507
29年前の今日、1988年5月7日、文芸評論家の山本健吉が亡くなりました。1907年長崎市生れ。享年81. 戦前、特高により夫婦ともに拘引された経歴あり。作家で共産党員歴のある中野重治についての山本の次の一文がいいーー
《中野氏はその詩と散文とをも含めて、つまり小説もエッセイも評論もいっさい籠めて、詩人なのである。いや、その政治的行動をも含めて、詩人=革命家という等式において、氏の全存在をあげて、詩人なのである。今日、詩人と呼ばれている多くの人たちより、数倍も詩人的であり、言葉の本然的な意味において詩人なのである。》
折口信夫に師事しつつ独自に古典以前から現代に至る日本の詩心を追求し続けた山本自身が《詩人=革命家という等式において、氏の全存在をあげて、詩人なのである》と思います。なお同郷出身のさだまさしと山本との交流も興味深いものがあります。