宇野重規著『政治哲学へ:現代フランスとの対話』(東京大学出版会)の増補新装版ができた

20190508

宇野重規著『政治哲学へ:現代フランスとの対話』(東京大学出版会)の増補新装版ができた。初版以来15年。嬉しい。
あとがきの追記で宇野先生は、製作を担当した故人の白崎孝造についても触れられている。ありがたい。
 この本は、タイトルをどうするかが悩みの種だった。「政治哲学」の必要性が言われながらも、日本の大学では「政治哲学」の講座もない状況で、書店からも「政治哲学」をメインタイトルにもっていくと読者がつかないと言われた。それを押し切って今のようなタイトルをつけたが、専門家の間では高い評価を得ながらも(渋沢・クローデル賞を受賞したように)、販売面ではいまひとつ 。
 ただ、この2004年の『政治哲学へ』の10年後に岩波書店から『岩波講座 政治哲学 全6巻』が刊行。この『政治哲学へ』は先駆の役割を果たしたのだと思い感慨深かった。一冊の本には表には出てこないいろいろな思いと歴史が込められている。