山本健吉『いのちとかたち:日本美の源を探る』

20170505

山本健吉『いのちとかたち:日本美の源を探る』(新潮社 1981)読了。購入が「2004年10月16日」というメモ書きがあるから、12年半にして読んだことになる。
山本については『古典と現代文学』を学生時代に、『大和山河抄』をその後に読み、『釈迢空』や大著『芭蕉全句』は積ん読のまま。
なお『いのちとかたち』は、著者によれば「日本人の藝術観の底には日本人の自然観が横たわり、さらにその底辺には自然界のすべてを霊の栖と考え、生きた存在と考えるアニミズムの思想がある。その世界認識が日本の藝術にどのような特徴を与えているか」を捉えようとしたもの。
圧巻は、源氏物語を初出とする「やまとだましい」の考察、さらに「たましい」論の源を記紀万葉集、あるいはそれ以前に探ろうとした連続論考。折口信夫に学びつつ、折口学藝から自立しようとする志向と相まって、手に汗を握る思いで読んだ。
しかし、ここで言う「日本」というのは、何を指すのだろうか。山本には自明に思われたことが、私には不明のものとなっている。