佐左木俊郎 大沼渉 松田解子 陀田勘助

親戚の作家の佐左木俊郎と同郷の大沼渉(宮城県大崎市岩出山下一栗出身)をゼロから調べ始め、社会運動の同志である陀田勘助や大沼配偶者の作家松田解子のルートからアプローチしていた。佐左木俊郎は『文学時代』の編集者として松田解子と接触を持っている。

 そうしたら、アナーキズム研究者の後藤彰信さんから著書『日本サンジカリズム運動史』(啓衆新社1984)および『増補版 日本アナキズム運動人名事典』(ぱる出版2019)の「大沼渉」の項のコピーをお贈りいただいた。大感謝!

 大沼渉について、人名事典にもあたる必要があると思い、地元の茅ヶ崎市立図書館で調べたが、社会運動史人名事典の類は蔵書されておらず、神奈川県立図書館に足を運ばなければならないと思っていたところだった。

 それにしても、宮城県生まれの後藤さんが既に宮城県生まれの大沼渉を取り上げていたことにビックリ。大沼渉は宮城県出身の弁護士布施辰治の縁で社会運動に入った。(この後藤さんの新書版には索引が付いていて、とてもいい。)

 戦前の労働運動や農民運動にはわたしもこれまで学んできたが、アナ・ボル論争などについては理解が行き届かず、その点、後藤さんの本で、その一端をつかめそうだ。

 仙台市文学館からは松田解子の佐左木俊郎宛て書簡があることを知らせていただいた。来週10〜11日に同館に行き、その書簡現物にあたる予定だ。佐左木俊郎と大沼との直接的接触があったかどうか。これも調べたいが、さて。

以下、『増補版 日本アナキズム運動人名事典』より。

《大沼渉 おおぬま·わたる  1901(明34)11.10-1988(昭63)10.25

宮城県玉造郡岩出山町生まれ。18年石巻商業学校卒業後上京,22年日本大学中退。小学校の代用教員,自由労働者,雑誌編集などの仕事を経たのち同郷の布施辰治のすすめで関東大震災後盛んとなった失業者運動に参加。24年11月歌川伸らと中央自由労働者組合(のちの江東自由労働者組合)を結成する。25年春歌川,斎藤一平らと北海道へ渡り監獄部屋打破期成同盟を結成,6月から北海道,樺太の各地で活動する。26年東京で山本忠平(陀田勘助),高田格らと黒旗社を組織,黒連,全国自連に加わる。松田解子と結婚。27年11月江東自由の失業抗議闘争を組織し日比谷署の警官と乱闘,同志22人とともに検束される。28年3月全国自連第2回続行大会で歌川,斎藤,高田らとともに退場,やがてボル系へ転じる。敗戦後46年共産党に入党。(奥沢邦成)[文献]『自連』2·19·23号1926.7-27.12·28.4》