佐左木俊郎と川端康成 メモ

 1899年6月14日生まれの川端康成と、1900年4月14日生まれの佐左木俊郎とは、10ヶ月の違いがあるが、同世代の人間である。
 川端は、『新潮』1933年5月の文芸時評でも書いている通り、同年3月13日に亡くなった佐左木俊郎の家を弔問しているが、『文芸』1933年12月号に掲載された「末期の眼」にも次のような一節がある。
《佐々木俊郎氏の家に中村武羅夫楢崎勤氏と私と、三人で悔みに行つてみると、遺骨の箱のうえに彼の作品集が四五冊積み重ねてあつた。私は思はず、ああと溜息をもらした。》
 この「ああと溜息をもらした」は何を意味しているのだろうか。