南原繁『形相』について

南原繁研究会に参加。今日は、歌集『形相』の後半について報告がなされ、会員が一人一人コメント。南原批判を含めて自由な議論がなされる。私は、南原の歌集への斎藤茂吉の高い評価は、戦争を謳歌した戦時中の茂吉の戦後における補償作用のなせるワザではないか、と指摘した。
南原繁の歌集『形相』は、昭和10年から20年に至る南原の精神の軌跡を探る格好の素材であるが、歌としてみた場合、斎藤勇が南原著作集の月報で指摘するように、古語にもたれかからない、普通の言葉から紡ぎ出した、よりわかりやすい歌が詠まれてしかるべきではないか、と思う。
南原の『形相』は歌日記として読むことができるように編集されている。それであるが故に、(他の歌集もそうだが)編集次第によって、一首の意味が異なってくる。南原の場合、新聞に発表された初出の場合の日時が、歌集の指示する日時と異なり、困惑する歌がいくつかある。

2011/05/17