丸山眞男と高木博義 「96年の会」と「60年の会」
名古屋・丸山眞男読書会「96年の会」発行の『第100回「96年の会」丸山眞男没後25周年記念会記念文集』(2022.8.15発行)を寄贈さる。同会は丸山逝去の年1996年秋に高木博義氏の呼びかけで始まったもの。年4回のペースで読書会・公開記念会を持ち、5年ごとに抄録集を発行してきた。この2月に開いた100回をもって四半世紀の活動の終止符を打った。本文集は、関係者が寄せた読書会参加の感想と自由テーマなどからなっている。
高木博義氏は、日米安保の1960年に丸山眞男の東大法学部での講義「東洋政治思想史」を聴いた学生有志のクラス会「60年の会」の会誌『’60』の発行も担っていた(2016年の第17号で終刊)が、本文集に寄せた文章の末尾「前を向いて、希望」と題して「96年の会の第一次・25年間はひとまず閉じます。これからは、私たち会員一人一人が核(ケルン)となりましょう。第二次・96年の会が、全国あちらこちらに、目を出すことを希望します。」と書いている。まさに、高木氏が核(ケルン)となり、丸山眞男を通して「60年の会」と「96年の会」は繋がっていたのである。
その高木氏はこの9月11日に天に召された。享年85.
本文集を開いていて、張りのある声で「前を向いて、希望」と呼び掛ける氏の芯のある温顔が目に浮かんできた。