東大出版会理事としての丸山眞男:石井和夫の証言

丸山眞男先生は1957年から1960年までの4年間、東京大学出版会の理事として務められた。その時の様子を編集主任であった石井和夫から聞いた。以下の通り。
《石井 当時、東大法学部からは法律と政治と二人の理事が出ることが多かったのです。辻清明先生のあとに丸山先生が理事に就任されました。ほぼ毎月、理事会があって、そこで企画の検討をするのですが、丸山先生はあまり欠席することなく、よく出ていたと思いますよ。理事会が終わると、帰りの方向が同じですから、一緒に車に乗りました。
 ただ、丸山先生は、企画の推薦もしない、取り次ぐこともしない、という態度でした。もちろん、私どもが若い人の研究についてお尋ねするときちんと評価を聞かせてくれましたが、企画を持ち込むことも仲介することもありませんでしたね。》

 また、理事会とは別に年1回行われる評議員会においては、東大出版会の活動の年間計画を丸山先生が理事として報告している記録が残っている。