Press からPublishingへ

わたしは、活版からコンピュータ写植に移行した1990年代初めから、「University Press からUniversity Publishingへ」というスローガンを東大出版会および大学出版部協会で訴えようと考え、英語ネイティヴの方にUniversity Publishing という表現が可能かと尋ねましたが、そのような言葉はないと言われ、断念していました。
 2003年にオーストラリアの大学や大学出版部を訪問したときに、Melbourne University Publishingに出会いました。1922年にメルボルン大学出版部(Melbourne University Press)が創設されましたが、2002年12月に、その業務を引き継ぎつつ、新しくMelbourne University Publishingが発足しました。略称は双方ともMUPです。その時のChief Executive Officerのルイーゼ・アドラーさんは「19世紀型・20世紀型のUPとは異なるものを目指す。」いう意気込みでした。
 これに自信を得て、2003年以後、「University Press からUniversity Publishingへ」を標語にいろいろな場で話をし、東大出版会の上層部にも、University Tokyo Press からUniversity Tokyo Publishingへの変更を訴えましたが、その切実性が感じられなかったのでしょうか、取り上げられることはありませんでした。
 ただ、大学出版部協会以外の出版会で、「Press からPublishingへ」と訴えますと、小規模の意識的な出版人からは好意的な反応を得ました。
 なお、以上の背景に、わたしが公共哲学についての出版に精力的に取り組んでいたことがあります。