『闘いの火をかかげ続けて 岡崎一夫のメッセージ』


札幌出身で茅ヶ崎に住んだ岡崎一夫の生涯と事績を記した『闘いの火をかかげ続けて 岡崎一夫のメッセージ』(イクォリティ1993)を雪降る札幌のホテルで読了。岡崎は1899年3月1日札幌生れ。東京帝大法学部を卒業して弁護士となり自由法曹団に加入して、1927年新潟で農民運動などを指導。共産党に入党し、28年三・一五事件で検挙され、治安維持法違反、出版法違反で懲役刑。戦後、自由法曹団を再建し、労働争議松川事件などで活躍。自由法曹団長、日本国民救援会会長を務めた。年表を見ていたら、36年前今日1986年1月15日の逝去。86歳。

本書は、石狩川治水の祖と言われる岡崎文吉の長男として生れた一夫の生涯を、残された日記や記録をもとにして、その長男である晃が描き、またその弁護士・社会活動家の側面を関係者が描いて、その公私にわたる一夫像を浮き彫りにしている。特に、牧師の晃の「息子からみた岡崎一夫という人」は、偶像化されがちな一夫の内面に迫り、また家族との日常を描き出してとても良い。また、岡崎文吉についても触れられていて有用である。カバーは、茅ヶ崎の浜から烏帽子岩を描いた絵を使用しているのも好ましい。

 

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