陸奥宗光「東北紀行」

村井章介先生より「陸奥宗光「東北紀行」:翻刻と解題(上)」(『東京大学史料編纂所研究紀要』31、2021年3月)を恵贈さる。元老院幹事の官にあった陸奥宗光が、1876年8〜9月に、太政大臣三条実美を頭とする北海道・東北地方巡視に随行した際の旅行記。(上)は、北海道(箱館、札幌、小樽が中心)と青森についての記録。

拾い読みしただけだが陸奥「東北紀行」は、明治初期の北海道の記録として非常に面白い。箱館では学校教育や教会などについて、石狩川河口巡視では、ホロナイやホロムイブトの地名が出てきて、伊達邦直らが開いたトウベツ、また千島樺太交換条約に伴った「樺太土人」が移居した「ツイシカリ」についても言及している。ほか、開校したばかりの札幌農学校には「教長クラールク氏」ほか「洋人三人」がいたことも記録されている。