佐左木俊郎探偵小説選に寄せたエッセイ

『佐左木俊郎探偵小説選 I』(竹中英俊・土方正志編、論創社)が8月に刊行予定。続刊の同 Ⅱ 巻に寄せるエッセイを本日書き上げて編集部に送付した。400字40枚。
 2018年3月に執筆依頼を受けてからの二年余、どう書いたらいいか頭から離れることがなかった。佐左木俊郎の全作品を読み返し、関連資料を集めて読み、さらに出身地と札幌の関係者にも会い、生家と墓地を訪ね、ゆかりの北海道は池田にも足を運んだ。今年6月に始まった仙台文学館での佐左木俊郎展を訪ね、見るべきものは一応見たと決断し、ようやく仕上げることができた。
 成果は不十分で貧しいものではあるが、余人にはなし得なかったものを仕上げたのではないかという思いはある。今後は、40枚エッセイに盛り込めなかったテーマ(編集者としての具体的な活動、農民文学・プロレタリア文学・芸術派文学・私小説派文学の総体としての佐左木文学の根源、デビュー以前の表現活動の実態など)をボチボチ調べて書き溜めていきたいと思っている。
 ともかく書き上げて、つかの間の解放感を味わっている。