是枝監督『万引き家族』

2018/07/03

昨日は、東京日比谷のTOHOシネマズで是枝監督の『万引き家族』を観て来ました。観る前と後とで、日比谷や銀座の街の風景と歩く人々が違って見えました。
是枝作品はこれまで『誰も知らない』『そして父になる』『海街diary』を観ていますが、いずれも、(壊れかけた、あるいは擬制の)家族を描くことを通して、普通に生きることの意味(あるいは超意味)を問いながら、しかし、何が正しいのか、何が間違っているのか、どうすればいいのかーーそれは観るものに委ねたままにする、優れた作品です。
また、登場する(子役も含めた)人物それぞれが丁寧に描かれ、言わば全員が主人公であるような、あるいは主人公というものがいない、そのような生活を映し出しているのも、見事としか言いようがないですね。
日本での最も多い家族類型が《単身世帯》となって10年近くになります。おそらく、これまでの家族モデルをもって人々や社会を見ることでは通じない時代になっているのだと思います。是枝作品は、そのところを掬いとり、そして一人一人の生を救おうとしているのではないでしょうか。