トクヴィル『アメリカのデモクラシー』

2019/05/30

昨日の歯周病外科の大手術で今日は安静。お陰でトクヴィル (松本礼二訳)『アメリカのデモクラシー』第2巻下を読み終えた。岩波文庫全4冊で計1400ページ。今年の稀なる10日連休に際し読破を決意したのであるが、ほぼ1ヶ月かかった。
1840年に刊行された第2巻は、平等で民主主義的な世紀という生まれたばかりの世界を前にして、その行方を、期待と共に、心おののくような危機感をもって見通そうとしたものであり、その《民主的な社会状態は専制の確立に至る特異な条件を提供する》、《境遇が平等な国民は容易に絶対的専制的政府を樹立する》という洞察は、あたかも今日の(ロシアや中国などを含めた) 世界を予言したものの如く読めた。このことに戦慄を覚えざるを得なかった。
そして今、かつて 編集企画した(訳者の)松本礼二著『トクヴィル研究』(東京大学出版会1991)を引っ張り出して、読み直そうと思っている。