矢田津世子、佐左木俊郎、『文学時代』

昭和戦前期の作家 矢田津世子(1907-44)と『文学時代』(新潮社、佐左木俊郎が編集)について調べていたら、津世子の兄が後に大和生命保険社長を務めた矢田不二郎(1902-78)であることを知った。数十年前の学生時代、矢田社長と親しくしていた大叔父から「もし大和生命に入るつもりがあるなら矢田さんに頼んでもいいよ」と言われたことを思い出した。茫々。

なお、『文章倶楽部』の編集をしていた佐左木俊郎は、その後継誌として創刊された『文学時代』の編集にあたったが、新潮社は、講談社の『キング』に対抗する『日の出』にリソースを投入する方針で、『文学時代』は短期で廃刊となった。しかしその間に、矢田津世子の文壇デビュー作となった「罠を飛び越える女」が『文学時代』に懸賞当選作となり(1930年)、1931年8月の『文学時代』に掲載された『波紋』が評判を呼んだという。

これに佐左木俊郎がどのように関わったかは、よく分からない。