真壁仁「大学出版の源流: 「官板」から「福澤氏蔵版」まで」

2013/04/05

『大学出版』94号(2013.4)が出来てきた。大学出版部協会50周年記念特集の第二弾。冒頭の真壁仁「大学出版の源流: 「官板」から「福澤氏蔵版」まで」が秀逸。18世紀末、幕府直轄となった昌平坂学問所の官板を大学出版の一つの源流と看做して追跡し、自家蔵版としての自営出版を始めた維新前後の「福澤屋諭吉」に繫げた好エッセーである。
昌平坂学問所の官板に加えて、大学出版の源流の一つとして、ペリー来航以降の洋学所・蕃書調所・洋書調所・開成所の翻訳書刊行事業を視野を広げれば、高等教育の出版の源流の立体的な構図を描くことができそうだ。