「軍隊のお話(京極純一先生)」

20161016記

古いファイルを整理していたら「軍隊のお話(京極純一先生)」という題の400字11枚ほどのワープロ文書が出て来た。1994年9月14日、東京広尾の先生のお宅に行った際に伺った話だが、とても貴重なものと思って、帰社後、その日のうちにワープロで打ったものである。
京極純一先生は、昭和19年9月に歩兵二等兵として高知市朝倉の兵営に入隊、陸軍豊橋第二予備士官学校で教育され、20年6月末に鹿児島県西海岸に配属。7月に習志野学校に派遣され、米軍の本土上陸に備えた「砲とガスへの対策」を学び、鹿児島に戻ってきたところで敗戦を迎えた。兵隊の逃亡離脱の混乱の中、上官や兵隊の復員手続きを処理し、自らも9月中旬に復員。この1年間の経験を語ったものである。
末尾にはこうある。「軍隊の経験で官僚制組織は懲り懲りだと思った。日本のような条件で一定の人口をもっているとある程度の官僚制が必要であるのは分かるが、それにしても軍隊はひどい所である。官僚制組織懲り懲りで、学者になったのだが、しかし大学もまた同じような側面をもった組織だった。」
『増補新版 和風と洋式』(東京大学出版会 2013)にはインタビュー「私の来た道」が収録され、軍隊経験を語っているが、それは観察対象としてである。この「軍隊のお話」も観察による考察を語っているが、より回想的である。それだけに貴重と思われるが、如何。